2020年2月4日2020年2月4日 0 Comments
殺人鬼フジコの衝動
とてつもなく救いようがない話で、どんどん主人公、フジコの人生が転落していく話です。
上がっていくことはないし次から次に不運に襲われていって、別にわたしはフジコのことが嫌いでもないのでこんなに不幸になられても嬉しくないのですが、1度読み出すとやめられない中毒性がある小説です。
フジコは殺人鬼ですが、元々猟奇的な人間だったり愉快犯だったりするわけではないです。
ただ、耐えて耐えていたのがどうしようもなく殺してしまって、1つ罪を犯してしまったらそこからドミノ倒しのようにどんどんと殺さないといけなくなってしまいます。
自分が人を殺すなんてありえないと思っていますが、フジコみたいに周りに味方がいなければ、相談できる相手がいなければ、強みがなければ、今は周りに支えられて普通に生活している人でも、同じ境遇だと簡単に殺人犯になるかもしれないと思うような話でした。
そして、始めは殺すことで大きな消耗をしていたフジコも、何人も殺すうちに「またやらなきゃ」とちょっと殺すことに対して慣れてしまって大きな労力や精神力を要さなくなっているのがなぜか妙に共感してしまって怖かったです。
どろどろした話が好きな人は絶対はまる小説だと思います。