冷静と情熱のあいだ/江国香織

1999年に出版された江国香織さんの恋愛小説です。
アオイという日本人の、イタリアでの生活を描いていて、主人公のアオイ目線で、イタリアの町の風景、友人、恋人などがとても繊細に描写されています。
まず最初の印象としては、とにかくお洒落という事です。
舞台がイタリアということもありますが、作中で描写される登場人物の一つひとつの言動、登場する場所、食べ物、風景、がとてもかっこよく、イタリアという見知らぬ地に、つい思いをはせてしまいました。
もうひとつ印象的だったのは、やはり江国氏の独特な世界観とストーリー展開でしょうか。
冒険的なわくわくするような世界を書くというよりは、登場人物の心理の変化を、丁寧にじっくりと書き出す「江国ワールド」は、この作品でも存分に発揮されています。
また、ストーリー構成もとても興味深いです。物語の前半はほとんどアオイの日常生活の繰り返しを描いています。
仕事へ行き、買い物をし、恋人と食事をする。その様な一見なんでもない文章なのに、引き寄せられ、時間を忘れて夢中になってしまい、江国氏の小説家としての才能を改めて感じさせられました。
全て読み終わった後に、「冷静と情熱のあいだ」というタイトルに、なるほどな、と思うでしょう。