空中ブランコ

とても温まる展開でした。
一見、人の話を聞かない、自由奔放にしか見えない精神科医が、患者自身が問題に気付くように導く姿が、意図的なものなのか、本当に何も気付かずにやっている事が、結果的に良い事に繋がったのか、とても面白いと思いました。
人は、何か問題が起きたり、壁にぶつかった時に、自分を省みる、という事はなかなかできません。
何かの要因を探したり、誰かのせいにしたり、自分が原因ではない、自分は悪くない、という風に考えてしまったりします。
そのため、周りの言葉が受け入れられなかったり、大切な人が勇気を出して言ってくれた事にも反発してしまい、解決できないという事があります。
この空中ブランコに登場する、伊良部という精神科医は、人に対してまず、警戒心を持たせない風貌であり、言動も読めず、自由奔放な人物です。
その一見、空気の読めなさが、どんどん周りを巻き込み、いつしか人を惹きつけていきます。
この精神科医を見ていると、怒るのが馬鹿馬鹿しいと感じたりします。
人を和ませる、身構えさせない人柄が、ギスギスしていた心を和らげ、問題解決に繋がっていきます。
最初は、空中ブランコから落ちてしまうのは、相手のせいだと思い込み、周りからの忠告や、心配してくれる大切な人にもぞんざいな態度をとっていた男性も、伊良部に接していくうちに、気持ちがほぐれていき、伊良部の行動により、問題が自分にあった事に気が付きます。
こんな精神科医の先生がいたら、会ってみたいな、と思うような人物で、とても面白く素敵な本です。